川から来た私たち:流域の千年・共に綴る文化

文/總策展人 龔卓軍

「教えてください。島はどこですか?」作家の頼香吟は彼女の代表作「島」の中で、夢に何度も現れる故郷の台南へ呼びかけ続け、消えた主人公「島」を探しています。「島」はどこにも見当たりません。彼女は「島」の書斎に足を踏み入れます、「島のテーブルに置かれたすべての資料を見渡しながら、彼女が思っていた南城のイメージは幾重にも覆らされた。かつて赤崁と安平の間に広大な海があったのだ。ゼーランディア、プロヴィンティア、台江内海、五条港はまるで宇宙を旅するようだ。以前住んでいた南城はゆらゆらと漂い、彼女は地底を踏みしめることはなかったのだ。」もしも台南が海に浮かぶ「川流の島」だとしたら、その果てしなく流れる川の島と台湾とは千年の歴史で密接に関係しています。この台南400周年を一つのきっかけとして、私たちは浮島である南城に問いかけます。私たちはどこから来たのか?私たちはどこへ行くのか?

私たちは川から来たのです。川の流れは森林の万物を押し流し、丘をなし、平原を作ります。もちろん、私たちも海から来ました。海流は世界史の変遷を乗せ、港や港湾都市を形成してきました。『銃・病原菌・鉄』の作者であるジャレド・ダイアモンドは、近代の植民地戦争と部族社会の変遷、島の生活環境と歴史から、「文化は人間によってのみ作られるのではなく、環境と共に作られるものである」という重要な結論を導き出しています。山や海に依存しない人類の文明もあるかもしれません。しかし、重要な河川なしに文明は存在しえません。台湾は降雨量が豊富で、連なる中央山脈により天然の遮水壁が形成されています。急傾斜地に河川が密集していることから、東西に勢いよく土が堆積し、急速な地形の変化、洪水と干ばつの差が激しく、短時間で急速に海に侵食されるという特徴が生まれています。このことから、作家の呉明益は『且譲我們蹚水過河:形構台湾河流書写/文学的可能性(歩いて川を渡る:台湾の河川に関する文章の構築/文学の可能性)』の中で、台湾文学のテクストでは、台湾の河川の流れが「養育者」「加害者」「被害者」という3つの基本的な「認知地図」とされていると考察しています。台南の6つの河川は台南の街を養ってきたほか、この土地に豪雨、土石、激流をもたらします。そして川の流れは現代資本主義の発展の中で被害者となっています。私たちはどこから来てどこへ行くのか?

2024年現在、気候変動や異常気象による洪水、干ばつ、海岸線の後退がますます顕著になっています。都市と水域のさまざまなの関係性は400年の変化を経て「私たちは川から来た」という一千年来の問題を再考するシーンに直面しています。

本展では、「私たちは川から来た」のアート作品やプロジェクトを探索するほか、その半分以上のエネルギーを各階層の市民、小中学生、コミュニティ・カレッジ、NPO、世界の専門家、アーティスト(オランダ、マレーシア、日本、インドネシア)に注力し、探索、共同制作、共創の対話、共生を通じた国際的なネットワークの構築を図りました。400年に及ぶ台南の近代的な水域都市の経験から、一千年間にわたり共に綴ってきた文化を振り返り、河川からもたらされた幾千もの生活環境の物語と経験を通じて、世界的な異常気象と人新世の生存環境に焦点を当て、行動志向かつ持続可能な特性を備えた文化芸術展を作り出します。これをふまえ、水域に関する行動、提唱、国際フォーラムでの対談が、この都市で水域展示を開催する精神の核となっています。

展示スペースでは、一連の巨大な写真や映像で台南の水域文化を紹介し、水の流れと見学ルートを連動させます。展示はA、B、C、Dに分けられ、それぞれ「永遠のサイクル」「過去の願い」「今の声」「未来の懸念」の4テーマに沿って展開されます。これらの展示、それぞれ次のように名付けられています。「鯤鯓・凝望(台南水文化の総括)」「衆神・請水(永遠のサイクル)」「向海・航路(過去の願い)」「風土・衆声(人々の声)」「水逆・未来(未来の懸念)」。

Curatorial Team
GONG Jow-jiun, HUNG Yu-cheng, YANG Zhi-bin, SHEN Chao-liang, YEN Shih-hua, CHEN Guan-jhang, CHIANG Mei-ju, Joe HUANG, SHEN Yu-rung, LIU Zhen-yu
Consultant
Alice Ru-hua CHIU, HUANG En-yu
Supervisor  
Organizer  
Co-organizer  
Coordinator  
In Collaboration With
Art Commons Tainan, Department of Fine Arts (National Kaohsiung Normal University), Foundation of Historic City Conservation and Regeneration, Graduate Institute of Transdisciplinary Art (NKNC), JUNMAY Label Mfg. Corp., National Association for the Promotion of Community Universities, South Taiwan Film Festival, Tainan Municipal Liren Elementary School, VR FILM LAB of Kaohsiung Film Archive, Water Resources Agency MOEA (In alphabetical order)
Supporting Partner
Hong Foundation, Panasonic Taiwan
AR Technical Support
Institute for Information Industry, Arcus Digital Design Ltd.
Artist
Taring Padi (Fitriani Dwi Kurniasih [Fitri DK]、Mohamad ‘Ucup’ Yusuf)、Takahiro Mizushima, WANG Wen-yen, Wind and Ear Studio (CHAO Ba-hui, WANG Chih-chen), HO Chau-chu, Hubert Kilian, LEE Li-chung, LEE Yeh-lin, Cia Himiân Lí, LEE Ya-yen, SHEN Chao-liang, Rahic Talif, LIN Wen-chiang, LIN Chien-chih, LIN Bo-liang, LIN We-yen, LIN Hsuan-lang, Kim Oksun, HSU Yunghsu, CHAO Jui-kuang, MA Yu-chen, KAO Jun-honn, Research Team of Associate Professor HUANG En-yu (Department of Architecture, National Cheng Kung University), KANG Ya-chu, CHANG Ping-tang, CHANG Chih-chung, Alice Hui-Sheng CHANG, CHANG Jing-hong, KUO Po-chuan, CHEN Po-i, CHEN Chung-i, CHEN Yan-cheng, CHEN Chin-pao, CHEN Wei-hsuan, CHEN Yi-fei, PENG Yi-hang, TSENG Min-shyong, Jimmy TUNG, HUANG Yu-hsiu, HUANG Huang-chih, YANG Jin-huang, LIAO Ching-chang, LIU Yu, OU Chia-cheng, PAN Yuan-shih, TSAI Kuen-lin, TANG Yi-choon, HSUEH Ying-chi, HSIEH Pei-ying, LO Sheng-wen
Coordinator Team Members
Director: HUNG Yu-cheng
Project Manager: DU Pei-feng
Project Executive: CHOU Shang-yi, LIN Fang-to
Project Assistant: CHEN Jing-jie
Public Relations Coordinator: CHIANG Mei-ru, LIN Zhu-fang, CHANG Ching-hua
Key Visual Artist: CHIAO Sheng-wei
Graphic Design Coordinator: Mirr LO
Graphic Design: TSAI Jia-hong
Spatial Design: LIU Zhen-yu
Exhibition Production: LEEWEI DESIGN
Multimedia Technology: RAYME SOLUTION
Electricity & Lighting: LEE I-ting